亀田製菓といえば、亀田の柿の種やハッピーターンなどの「お米由来のお菓子!」というイメージで永く親しまれております。今年で設立62年目を迎え、「お米のエキスパート」としてますます成長する亀田製菓ですが、実は「植物性乳酸菌の研究」でも20年以上の歴史があるのをご存じでしょうか。本業はやはり米菓製造なのですが、原料であるお米を乳酸菌で発酵させて、何か健康にいい機能がないかな? と研究しているときに、たまたま、“とある植物性乳酸菌”に出会ってしまったんです。それが1998年の頃。当時は、その“とある植物性乳酸菌”の機能を研究するようなことはほとんどされてなかったので、未知な可能性を感じて研究に着手したんですね。でも、まさかそれが、「あんなにもすごい乳酸菌だった」なんて、我々も思わなかったんです…!
井口真理子さん
(お米研究所 ヘルスケア研究開発チーム 研究員)
今回の研究について、村上さんからのインタビューに答えてくれた亀田製菓研究員。お客様に対する熱い想いを持ちながら日々研究を続けており、アトピー性皮膚炎・アレルギーの人にとって 本当にいいものを届けたいと考えている。
村上佳菜子さん
(プロフィギュアスケーター)
自らは幼少期からつらいアトピーに悩んできた。
肌は人に見せるのがつらくなるほどボロボロで、掻き傷や跡、またケロイドのように肌が痛み、腫れることも多かった。
かゆみがひどく、それらの傷が治る前にまた掻き壊してしまう、ということを繰り返してきた。夜も猛烈なかゆみで眠れず、
眠った後も無意識に体を掻いて、朝起きるとひどい状態でショックを受ける…ということも珍しくなかった。
特に現役時代は心身ともに負担が大きいことも多々あり、肌を見せる衣装を諦めるなど、人知れずつらい想いと戦ってきている。
引退後は自身のアトピー改善のためにいろいろなことに取り組み、また同時に、自分と同じようにアトピーで悩んでいる人に情報を届け、
夢や希望を持ってもらいたいと考えている。
目次
村上亀田製菓さんが「アトピー性皮膚炎を改善する乳酸菌の研究」もしていると聞いて、今日はすごく興味深々で来ました! よろしくお願いいたします!
井口研究員の井口です。本日はよろしくお願いいたします。
村上さっそくなのですが、実は、わたしは長年アトピーに悩んできていて…。乳酸菌がアトピーに効くという話はたびたび耳にしているのですが、どうしてなのかを教えていただけますか?
井口はい。それではまず、なぜアトピーやアレルギーが起きてしまうのかを簡単にご説明します。
アトピーやアレルギーの発症には、実は免疫細胞のバランスが関係しているんです。こちらを見てください。
これらはヒトの免疫細胞だと思ってください。2つの免疫細胞、Th1細胞とTh2細胞というのですが、これらがバランスよく働くということがすごく重要になってくるんです。
この2つには、それぞれ異なった役割があります。Th1は細胞内病原体、そしてTh2は細胞外微生物などにそれぞれ反応します。
もし、このバランスが偏ってしまい、Th2だけが過剰に働くようになると、アトピー性皮膚炎や花粉症など、いわゆる「アレルギー症状」というものが起きやすくなる人が出てきます。
村上つまりアトピー性皮膚炎である私の中では、このTh2が強いということなんですか?
井口はい。一般的にそう言われています。そして、バランスがTh2に偏ると、アレルギー検査などで聞いたことあるかもしれませんが、「IgE」という抗体が多く作られるんです。 (=抗体産生)
村上聞いたことあります! たしか、血液検査とかで濃度を調べたりするような?
井口はい。IgEはアレルギー反応に深く関わっていると考えられていて、アトピー性皮膚炎の場合、血中のIgEは高い人が多いです。そのIgE抗体が「マスト細胞」という細胞をとりまき、くっつくと、アレルギーが発症する準備が整ってしまうんです。
さらにそこへ、花粉やハウスダスト、ダニなどの「アレルゲン」が入ってくると、そのIgE抗体とくっついちゃうんですね。すると、それが引き金となって、マスト細胞内に詰まっていた大量の「ヒスタミン」というものが外に放出されてしまうんです。
「ヒスタミン」というのは、いわば「アレルギーのもととなる爆弾」。それが大量に爆発して外に出ていくようなイメージですね。かゆみとか炎症とかを引き起こすものがブワッと放出されますので、それによって、アレルギーが発症すると考えられています。
村上アレルギーの要素が詰まっているところが爆発って…なんだか聞いただけでかゆそう。
アレルギーって言葉はよく使っちゃうけど、反応のメカニズムについてはあまり考えてこなかったな…。こんな風になっていたんですね。
井口私達は20年以上前から植物性乳酸菌の研究をはじめました。それは、植物性乳酸菌の機能性は未知の部分が大きかったからです。
亀田製菓がストックしている乳酸菌の「株(かぶ)」の種類はぜんぶで300株ほど。その中から「Th2を抑え、Th1を活性化する」乳酸菌を求めて、さまざまな試験を行いました。そして、300株の候補から30株に絞り、最終的には3株を選抜しました。
村上Th1を活性化してくれるという上位3つですね?
井口はい。そのトップ3を使って、マウスの試験をしました。3つをそれぞれ28日間食べさせて、血中のIgE抗体の量を測っていきました。そこで最もIgE抗体の 産生を抑えたのが…K-2乳酸菌だったんです!!
村上K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)ってすごい…。
そんなにたくさんの中から何度も比較検討して、ようやく得られた研究成果なんですね!
井口はい。数多くの乳酸菌株の中から選んだからこそ、自信をもっておすすめできる乳酸菌になります。
村上その中を勝ち進んで1位になった乳酸菌ということは、相当にすごいものなんですね…。
井口実はこのK-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)、「酒粕由来の乳酸菌」なんです。
井口実はこのK-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)、「酒粕由来の乳酸菌」なんです。
村上酒粕? いろいろなお料理にも使える、あの酒粕ですか? 昔からあるイメージですが…
井口その通りです!酒粕は、食経験の長い安全な食品です。そういう、古くから食べられてきた安全な食品から乳酸菌を選抜しているところも大きなポイントなんですよ。
上:実際に乳酸菌を継代する様子
下:蛍光顕微鏡で乳酸菌の数を数えている様子
井口また、酒粕由来のK-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)は、「アトピー性皮膚炎の症状を緩和する効果」が実際に確認されています。これは先ほどの選抜のときの話(血中IgEを抑えたことを確認した試験)の後の話になります。
村上えっ!! さっきのとは別にまだすごい実績があるんですか?!
井口はい。まさにアトピー性皮膚炎に悩む方にぜひ知っていただきたい実験結果が出ました。こちらになります。
アトピー性皮膚炎の症状を引き起こすマウス(NC/Ngマウス)に、「K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)」を含む餌もしくは通常の餌を与え、皮膚症状の変化を比較しました。
「K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)」を投与することで、
亀裂や出血などの皮膚症状の緩和が見られました。
村上すごく顕著ですね…。わたしのようなアトピーに悩んでいる人が、この植物性ラクトバチルス乳酸菌を実際に摂取すると、どうなるんでしょうか?
井口はい、実際に私達は監修医のもと、アトピー性皮膚炎の患者さん33名の方を対象に、K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)の効果を確認する試験も行いました。こちらをご覧ください。
軽症から中等症のアトピー性皮膚炎患者(成人)33名に、12週間「K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)」200㎎、もしくは「プラセボ食品(K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)なし)」を摂取してもらう二重盲検試験(にじゅうもうけんしけん)を実施しました。皮膚症状は医師に、発症箇所は患者さん本人に評価してもらい、変化を比較しました。
【医師による評価】
全身の症状を医師が診察し、スコア化しました。
【被験者による評価】
被験者に発症箇所を赤く塗ってもらいました。
「K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)」を毎日200㎎を摂取
することでアトピー性皮膚炎の症状が軽減しました。
村上すごい変化ですね…これだけ差が出てるなんて。
井口マウス試験だけでなく、ヒト試験においてもこのように明確な結果が得られているので、これを見ていただければ、K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)がアトピー性皮膚炎に有効に作用することが、わかっていただけるのではないかと思います。K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)は安全性試験もしっかり実施していますし、酒粕由来の食品なので、毎日安心してお召し上がりいただけます。村上さんのようなアトピー性皮膚炎に悩む方にも強くおすすめしたい乳酸菌です。
村上やっぱり安心できるものを毎日取ることで徐々によくなってくっていうほうが、使う側としても安心できるし、これだけ効果が実証されているものだったら、きっとみんなが納得できるんじゃないかなと思いますね。
村上K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)のすごさはわかったのですが、そもそも乳酸菌ってどのようなものなんでしょうか。
「植物性」とか「動物性」とか、言葉はよく耳にするのですが。
井口乳酸菌は「乳」という字が入っているので、乳製品にしか含まれてないと思ってる方もいらっしゃると思います。
実際には、われわれ人や動物の口やおなかの中に住んでいるものもいますし、植物の表面にいたり、果物の傷みたいなところにくっついている乳酸菌もいて、生育環境は非常に多様で、いろんなところで生育できる細菌です。
井口なかでも、乳由来で、乳の発酵が得意なものを動物性乳酸菌といい、植物質の発酵が得意なものを植物性乳酸菌と呼んでいます。植物性乳酸菌というのは、乳由来の動物性乳酸菌と比べても、生育環境が非常に厳しかったり、栄養が乏しかったり、生育阻害物質などがあるところでも何とか生きることができちゃいます。そのため、植物性は動物性に比べて多様な機能があるのではないかと考えています。
村上なるほど、そうだったんですね。K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)は、そのなかでもまさに私のようなアトピーの悩みに役立つ乳酸菌だったわけですね。
井口はい。そのパワーと研究成果には、正直、我々自身も驚かされました。
村上亀田製菓さんが行ってきた研究について、また、研究の中で見事選び抜いたK-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)について、とても詳しくお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
井口亀田製菓はお米のエキスパートではありますが、K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)の研究にも力を入れているということが、皆さんに少しでもお伝えできたなら、嬉しく思います。
村上わたしのようにアトピー性皮膚炎に悩んできた人にとっては、本当にありがたい情報だと思います。アトピー性皮膚炎の人もアレルギーの人も、今の時代、本当にたくさんいらっしゃると思うから…。
井口アレルギー疾患が増えてきた背景としまして、「衛生仮説」というものがあります。
近代化が進んで住環境が非常にきれいになりすぎたことによって、微生物に接触する機会というのが幼少期から非常に減ってしまいました。悪い菌によって感染症が蔓延したりといったことは減ったんですけれども、微生物の接触が減ったことによって、I型アレルギーである花粉症とかアトピー性皮膚炎が増えたのではないかという報告もあります。
村上そうなんですね。確かに、清潔にしすぎるとかえってアトピー性皮膚炎になるって話は聞いたことあります。
井口なので、小さい頃から微生物を体内に取り入れて腸管免疫を刺激して、免疫バランス整えることが大切なんです。それによって、大人になってからのアレルギーを発症しにくくすることができると考えています。
生活環境の変化で出てきた疾患に対して、お薬で長期間にわたって治療するというのは、副作用の観点からしても、医療費の面でも、不安も負担も大きいことは間違いありません。
お薬と違って、食品ってやっぱり安全であることが第一条件だと思うんですけど、毎日安心して食べられる食品によって不快な症状が改善するのであれば、それに越したことはないと考えてます。そういうところに、食品にできる役割ってあるんじゃないかなと。わたしたち研究チームも、そんな想いを持ちながら日々研究に取り組んでいます。
村上安心して続けられるって、本当に大切なこと。本当に安心して摂ることができて、それでアトピー性皮膚炎が改善される、アレルギーが改善されるって…私たちにとっては、すごくすごく、うれしくて、夢みたいなことなので…ありがとうございます。
井口アトピー性皮膚炎やアレルギーに悩む方に少しでも笑顔になっていただくお手伝いができれば嬉しく思います。
亀田製菓の研究により、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状への有効性が確認された酒粕由来の「K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌)」は、専門家の間でも注目されています。
ぜひみなさんも、アトピーと乳酸菌の関係について理解を深めていただき、アトピーやアレルギーを持っていても気持ちよく過ごせるカラダづくりを目指してほしいと思います。